べーカー発言の趣旨は西独の金利上昇が米国のインフレ懸念を増幅させ、ドル安につながることへの警告でした。
「ドル安になってもいいのか」というブラフ(脅し)のつもりが、ドル安容認、ルーブルで合意した為替相場のレンジの再調整、ひいては各国の協調体制の崩壊、米国経済への不信と次々に連想が膨らみ、為替相場を通り越えて株式の投げ売りを引き起こしたのでした。
株式急落にあわてたべーカー長官は急きょ西独に飛び、シュトルテンベルク蔵相、ぺール西独連銀総裁と会談し、為替安定のための協調体制を確認しました。
西独は米国の要請を受け入れ、金利上昇抑制に動き始めました。
日銀も連動する形で、金利低下を促す手を打ちます。
グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長やレーガン大統領も相次いで特別声明を出し、信用不安防止に全力を挙げるとともに、市場が平静さを取り戻すように訴えました。
米独のあつれきは、各国の景気の実態によってインフレ警戒度など政策姿勢に微妙な違いが出てくることが象徴的に表れたものです。
・・・政策協調にもおのずと限界があることを市場にさらけ出す形となりました。