種の絶滅の問題を深く憂慮する研究者が、この問題への社会的な関心を喚起するためにつくった言葉です。
この言葉は、アカデミックな意味での市民権を獲得する前に国際条約のタイトルとなり、社会に一般に通用する言葉となりました。
それは、この言葉を用いて研究者が広く提起しようとした間題がそれだけ重大であったこと・・・
使い古された言葉ではなく耳新しいこの言葉が、その危機の鮮明なイメージを伝えるのに役立ったからでしょう。
生物多様性は、ヒトの強い干渉のもとで野生生物全般が置かれた危機的な現状を憂える研究者が、それを科学的に認識するため、またその危機を社会に訴えるために、今ではなくてはならない用語となっています。
生物多様性という言葉の誕生の少し前に、この用語を最も中心的な概念とする研究分野が生物学のなかから生まれました。
「生物多様性の保全」という明確な目標のもとに、ペンタキープなど生物の絶滅や存続に関しての研究を展開する保全生物学です。
それは生物学に1つの新しいパラダイムが生まれたというだけでなく、自然とヒトとのかかわり方に関して新しい思想が広まったことをも意味します。
生物多様性という言葉にも、その思想が込められているのです。