トラマルハナバチの女王が花を訪れると、種子がよく実るようになるのでしょうか?
この問題については、個体群問の比較で検討することにしました。
関東地方の低地、長野県、および北海道のサクラソウの自生地のいくつかで調査をするうちに、サクラソウの種子生産に違いがあることがわかってきました。
トラマルハナバチの女王がよく花を訪れているサクラソウの自生地では、どの花型の花も十分に種子を生産するのに、それがない場所では、サクラソウの花が咲いても種子は十分にできないのです。
しかし、違う地域の自生地では、環境要因がさまざまに異なるため、そこでみられた種子生産の違いが果たしてトラマルハナバチの訪花の差異を反映したものであるのかどうか・・・
はっきりした結論を出すことは難しいでしょう。
はっきりした証拠を得るためには、同じ地域の多数の自生地および個体群を比較するような調査をしなければなりません。
北海道の南部には、同じ地域に何ヵ所もサクラソウが残されている場所があって、そのような調査が可能です。
また、こうした調査では、トラマルハナバチの女王がどのくらい花を訪れているかを、自生地ごとに量的に把握することが必要です。
花が咲いている間にポリネータが訪れたかどうかを知ることは、一般にはかなり難しいでしょう。
何百・何千もの花を、開いている間、ずっと監視していることなどできないからです。
ところがありがたいことに、マルハナバチの女王はサクラソウの花びらに訪花の証拠ともいえる「つめあと」を残してくれるのです。